「本は、これから(岩波新書)」

ネット社会の到来で町の「(古)本屋」は絶滅危惧種と言われている..「(古)本屋」は、そして「紙の本」はなくなるだろうか?「本は、これから(岩波新書)」を読んで一応、「紙の本」、そして「紙の本」を売る「(古)本屋」はなくならないかなと思ふ。そうであれば、「(古)本屋」は生き残るためにどういう努力をしたら良いだろうか、(15)(25)(31)(35)などは面白い意見か。

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(1) 池澤夏樹(作家): 電子ブックで読むより、ネットは本を買えるのが便利
(2) 吉野朔美(漫画家): 電子本はデータ、本ではないよネ
(3) 池内了(物理学者): 記録媒体(辞書)→電子本(残らない)、頭を鍛える(古典)→紙の本(残る)
(4) 池上彰(ジャーナリスト): 本屋が多い(読書をする人が多い)国は発展する、
(5) 石川直樹(写真家): 物質に刻まれた痕跡としての活字の読書とは未知への旅である。
(6) 今福龍太(文化人類学者): 書物は(情報を消費する)日常の世界からもっとも遠い世界(未知の荒野)。
(7) 岩楯幸雄(町の本屋): 電子書籍から受けるダメージは高コストの大型書店ほど大きい。
(8) 上野千鶴子社会学者): デジタル・アーカイブの最大の問題は媒体の移転に膨大なコストがいること。
(9) 内田樹(フランス現代思想): 電子本は本と出合う偶然性がないので本のオーラがなくなる。
(10) 岡崎乾二郎(造形作家): 本は時空を超えることを目指す。雑誌は逆に場の現在性を提示する。
(11) 長田弘(詩人): 本の文化は、いつ、どこで、誰が、どのように読んだかという一人一人の経験でかたちづけられる。
(12) 桂川潤(装丁家): エピーソード記憶の集合体であるcontextは五感を通して形成される。
(13) 菊池成孔(音楽家): 電子本は書誌学的な教養や経験、幼稚な自己愛を逆転させる。
(14) 紀田順一郎(評論家): 電子本を使って日本の書物を海外に、国際商品に衣替えできないか?
(15) 五味太郎(絵本作家): 僕の考える書籍は実用書ではない、本は役に立たないアートみたいなもの。実用書とは本来、書籍ではないが本の形をとるしかなかったもの、電子本の登場で居場所を得たわけで即刻電子化すべき。
(16) 最相葉月(ライター): 本は人が生きた証として永遠の時を刻む、簡単には手放せない。
(17) 四釜裕子(製本講師): 紙の本の黄金時代はやがて終わる。
(18) 柴野京子(元取次勤務): 自分に最適な本をすべての本の中から選ぶことは不可能。
(19) 鈴木敏夫スタジオジブリ): 本は生きていくための力。大衆消費は極まった、出版は適正な規模になること。
(20) 外岡秀俊(ジャーナリスト): デジタルは本の物質性をなくし情報化する一方、編集・校閲などの文化装置を破壊する。
(21) 田口久美子(書店員): 「棚に本を並べる」ことが地すべりを起こしている。本を知らなくても本を探せる時代。
(22) 土屋俊(哲学者): 印刷媒体による情報流通というモデルに代わるモデルが見つかっていない。
(23) 出久根達郎(作家・古書店主): 紙の本を読まない人が電子本を読むだろうか?電子本はコレクションできない。
(24) 常世田良(図書館協会理事): 本の選び方は受動的から能動的に移行。図書館目録の技術の応用が進む。
(25) 永井伸和(書店経営): 地域のリアル書店が出版や本のマーケティングに役立つ
(26) 長尾真(国立国会図書館長): 書籍の本質はコンテンツ。電子書籍は紙でできない世界を開拓すべき。
(27) 中野三敏(近世文学): 廃棄されている和本を電子本で救えないか?和本リテラシーの復活が必要。
(28) 成家眞(インスパイア役員): 本は重いのでほとんどの本をネットで購入。
(29) 南陀楼綾繁(ライター): 多くの本が出版されているのに、読者に届く本は少ない。委託販売の見直しは必至。
(30) 西垣通(情報学教授): 情報社会とは人間が機械になること。電子本は読者を消費者に変え、権力はそれを利用する。
(31) 萩野正昭(会社社長): 放送や通信と言う国家的メディアに対抗するのが本である。電子本はそのツールかもしれない。
(32) 長谷川一(メディア論): 電子書籍には実体がない、本の形態は内容と関係する可能性がある。
(33) 幅充孝(ブックディレクター): 紙の本と電子本の使い分けが重要。どのようなコンテンツを紙に印刷するか?
(34) 原研哉(グラフィックデザイナー): 情報は双方向の時代に。情報が「本になる」コンテンツは価値がある。
(35) 福原義春資生堂会長): 読書は環世界から自分にとって意味のあるものを作り上げる(認識)作業。
(36) 松岡正剛(編集工学): 読書は、読前・読中・読後があってアフォーダンスアブダクション的な推論作業。本を読むということは、読者が読書を編集することである。電子本であってもその本質は変わらない。
(37) 宮下志朗(フランス文学): 電子本は消費するコンテンツ(暇つぶしや実用本)。読むべき本は古典、ゆっくりと繰り返し読む。